高田喜佐さんのブランドです。
洋服は既製服ではなくオートクチュールであった60年代。足元は草履から変わって靴を履くことが市井で定着しつつも、それでもまだ道具としての意味合いが強かった時代。初めてファッションアイテムとして靴をデザインしたと言われる、シューズデザイナーの先駆者が喜佐さんです。
1966年、喜佐さん25歳の時の銀座の初個展で受注を受けた事から始まったキサ。80年代に、ギャルソンやイッセイミヤケが世界へ名を轟かせたショーでも靴を提供していたとか。日本のシューズ史を変えた人、とも言われています。
やっと出会ったのは30年程前の物とお聞きした、リザードを使ったウエスタンブーツ!
丁寧なステッチが大胆に走るふっくらとした筒は悠々たるボリューム感。複雑なリザードの模様と色の移り変りの美しさ。見ても見ても飽きない、工藝品の様な1足です。
アッパーはお手入れしてたのよー?と言われるのも納得の綺麗さでニヤニヤ(ソールは補修せねばだけど)。ロングブーツがブームとしてまた浮上する今、黒が圧倒的なトレンドだけど、こんな綺麗なキャメルのブーツも履きこなしたいところ。きっと純白のコットンのスカートとか似合うんだろうなあ。
因みにエッセイストとしても活躍された喜佐さん。
軽やかな文体で非常に読みやすく、それでいて靴への夢が詰まっています。年齢を重ねてもいつまでも靴にワクワクしている喜佐さんの姿に心躍らされ、何なら泣ける。読書の秋におすすめです。